2014年5月5日月曜日

中原中也の詩から

GWは、2016年の公演準備のために、中也の詩をいつか練習していました。
これまで、どうも中也の詩は苦手で、あまりワークをしたことがなかったです。
「よごれつちまつた悲しみに」、「サーカス」、「生いたちの歌」、
「月夜の浜辺」、「夏」など代表作ばかり...

その中で印象的だった詩が、「一つのメルヘン」...
とっても宮沢賢治っぽいんです...
一時、賢治の作品を読んでいたらしいので、
もしかしたら、影響を受けて書いたのかも?と思わせる詩です。

もし、この詩を書いたのが賢治だったら、
「うん、うん、わかる~」というところが、
これを中也が書いていると思うと、なんだかこう、せつないです...
彼には、そのメルヘンの世界が、遠くて、手が届かいようで...
というのは、
私にとって、中也は、暗い心の闇を抱えた、
気怠い現代人の最先端...なんです。


「一つのメルヘン」

秋の夜は、はるか彼方に
小石ばかりの、河原があって
それに陽は、さらさらと
さらさらと射してゐるのでありました。

陽といつても、まるで珪石か何かのやうで、
非常な個体の粉末のやうで、
さればこそ、さらさらと
かすかな音を立ててもゐるのでした。

……