2011年11月18日金曜日

アフリカ哀歌 by ベンオクリ

An African Elegy

We are the miracles that God made
To taste the bitter fruit of Time.
We are precious.
And one day our suffering
Will turn into the wonders of the earth.
There are things that burn me now
Which turn golden when I am happy.
Do you see the mystery of our pain?
That we bear poverty
And are able to sing and dream sweet things

And that we never curse the air when it is warm
Or the fruit when it tastes so good
Or the lights that bounce gently on the waters?
We bless things even in our pain.
We bless them in silence.

That is why our music is so sweet.
It makes the air remember.
There are secret miracles at work
That only Time will bring forth.
I too have heard the dead singing.

And they tell me that this life is good
They tell me to live it gently
With fire, and always with hope.
There is wonder here

And there is surprise
In everything the unseen moves.
The ocean is full of songs.
The sky is not an enemy.
Destiny is our friend.


アフリカ哀歌

我々は奇跡だ 神が創り出し
時代の苦い果実を味わう
我々は尊い
いつの日か 我々の苦しみが
地上の驚異となるだろう
私を苦しめる事は ほら
私が幸せになると金色に変わる
苦難の中に神秘がある わかるだろうか?
我々は貧困に耐え 歌うことができる
素敵な夢見ることができるのだ

だから 心地よく吹く風に
恨み言を言わないだろう?
おいしく熟れた果実に
水面をやさしく飛び跳ねる光に
我々は苦痛の中でさえ感謝する
すべてに黙って感謝する

それゆえ こんなにも
我々の歌はやさしいのだ
そのやさしさを空気は覚えていてくれる
物事には隠された奇跡がある
それは 時間はただ前へ運ばれる 
ということだ
私はまた死者の歌声も聞いた

彼らは伝える この人生は善きものだ
寛容に生きるのだ と彼らは言う
情熱を持ち、常に希望を持つのだ、と
地上には不思議がある

そして驚きも
すべての中に
見えないものが働いている
海は歌でいっぱいだ
空は敵ではない
運命は我々の友人だ

2011年11月6日日曜日

私の好きな詩人1-ベン・オクリ

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「詩」について    
詩は時制で言うなら“未来”に結びついていると言われる。
震災後、人々が立ち上がるために沢山の歌詞が作られた。沢山の人が詩を書き、フレーズやスローガンを掲げた。人が立ち上がって進むために、詩が出来ることは心に夢や理想の種を植えることではないかと思う、詩はそのために存在するのではないか、と…。抽象的で曖昧模糊とした詩の世界が心に宿してくれる光や勇気は確かにあると思う。
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ということで、これまでたくさんの詩人の詩に触れてきて、私の好きだった詩人を幾人か挙げてみたいと思います。

最初に紹介するのは、ナイジェリアの詩人・ベン・オクリ。1959年生まれで小さい頃イギリスに住んでいましたが、一旦ナイジェリアに帰り、私がイギリスにいた90年代はロンドンに住んでいるらしかったです。詩人というよりは小説家として有名で、日本では、「満たされぬ道」と「見えざる神々の道」という小説が翻訳されています。「満たされぬ道」では1991年にブッカー賞を受賞し、彼自身では2001年に大英帝国勲章を受勲しています。彼の詩の中で私がもっとも好きな詩は、〝An African Elegy”という92年に発行された詩集の題名にもなったものです。次回、オリジナルと翻訳してこの詩を紹介しますね。

ところで、NYで通っていた詩の講義で、先生がこの人いいよ~と紹介してくれた作家もナイジェリア人でした。チアヌ・アチェベという英語圏では、“アフリカ文学の父”と言われている人で、「崩れゆく絆」という著書がいろいろな国で翻訳されています。この本読みましたが、彼の英語がなかなか入ってこなくて読むのに苦労しました。(トホホ…)